LOVE JUNK

Vol.17 いい子になりたい

 「いい子にしてなさい」と、子どものころよく大人たちに言われた。大人が言うこのせりふには、「聞き分けの『いい子でいなさい』」というニュアンスが存分に含まれていると、今思う。わたしもいい子になりたかった、と思う。だけどわたしはいい子になれなかった。つまり、頭が悪いだけにとどまらず、聞き分けも悪かったのだ。
 関係ないけど、テレビなどでよく見かける「よい子はマネしないでね」というアレ、「悪い子もマネしちゃダメだって!」と突っ込みを入れるのは、あたしだけですか?

 さてさて、かわいそうにいい子になれないと知った小学生(当時)のあたしは、どんどん開き直って、最終的には「いい子なんてキライだ、バカァ!」と、クラスの女子を「いい子ちゃんグールプ」と「悪い子ちゃんグループ」などという、欽ちゃんもびっくりのなんとも単純な呼称をつけて二分してしまった経験を持つ。クラスにいたであろう普通の子たちがどっちに所属していたのかは、今となっては不明だ。もしかしたら、どちらにも所属しなかったのかもしれない、覚えていない・・・。

 では、「悪い子ちゃんグループ」のあたしたちがどんなことをしたのか、記憶をたどってみましょう。

 いじめっこの男子にいつも泣かされている女の子を守ろうと作戦会議を開き、各作戦に「フォーメーションÅ」とか「B」とか名付け、おまけにサインまで決めて断固闘ったり、転校生をなんとかこっちのグループに入れようと作戦を練ったり(彼女は後々、オリンピックに出場したんだよなぁ〜)、とにかく年がら年中作戦会議をしていたような…。
 「あれ? とりたてて悪いことしてないじゃん!」と思った? ちっちっち、あまいあまい、悪(ワル)は、都合の悪いことは忘れるもんなんだよ、反省なんてしないんだよ!

一方、「いい子ちゃんグループ」の人たちは、
 「わたしたちはいい子ちゃんグループなのよ! ああいやだ、『悪い子ちゃんグループ』の人ってなんて野蛮なの!」
と、ドラマ「少女に何が起こったか」(※昔の大映ドラマ、キョンキョン主演)も顔負けの対立があった、……わけないでしょ! こちらが一方的に呼んでいただけの話だ。たぶんあまり相手にしていなかったか、「たまいさん、最近何やっているのかしら?」くらいに思っていたというのが本当のところ、か、な・・・。(悲)

 あら、子ども時代のどうでもいい話に夢中になって、話の主旨をすっかり忘れていました。

 さて、「いい子」は、困ったことに非の打ち所がないのです。勉強とかスポーツとかの得手不得手はあるだろうけれど、とにかく、争いごとから回避することに1年の大半の時間をさいているのではないか? と思うくらい、人間関係において文句のつけようがないのである。
 友達の悪口なんか絶対に言わないし、お父さんやお母さん、先生を尊敬しているし、わがままなんか言わなくて控え目だし、とにかく文句のつけようがないから、ますますおもしろくない。「あの人キライ! だってあの人って・・・」の続きが思い浮かばないあたしは、「いい子ぶりやがって」とやや無理のある文句を言うしかないのだ。
 いや、いい子ぶっているんじゃなくて本当にいい子なんだと思うけど、悪い子のあたしには「本当にいい子」がいるなんて信じられないし、「本当は腹黒いに違いない」と思っていた。

 今は大人になったので「いい子」じゃなくて「いい子体質の人」とでも呼びましょう。で、本当に「いい子体質の人」っているんだなぁ…、って思うようになったのはここ数年なのだ。しかーし! いい子は、つまらない。話していたって模範的、善人的、バリバリの王道、文部省様いつでもいらっしゃ〜い的なこと(って、なにそれ?)しか言わない、いや、言えないのかな? 話していても「え!」っというびっくり発見発言は皆無でちっともおもしろくないなのだ。ちょっと悪いくらいの人がおもしろいんだけどねぇ。

 そうは言っても彼らも人間だよ、文句の一つ二つはあるでしょうよ。しかし子どもからのいい子気質のせいで、「言いたいことも言えずに、いろいろとがまんしているんだろうなぁ」と弁護することもできるだろうけど、悪い子のあたしは、「つまらないものはつまらないんだもん」と思う。悪い子のあたしは「そんなんであたしのお気に召すはずがないでしょ!」と思う。

 「なんで玉井のお気に召さなきゃならないのよ」とお思いですか? そう思ったあなたはいい子ではありませんのでご安心を。本当にいい子はそんなこと思わないのですから……、
 残念!(←あ、やっちゃった、エヘッ)

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