2004年3月 西日

ぼくの頭蓋骨に映し出されるのは、西日だけ。
朝日なんかは必要ない。朝日を見ると吐き気がする。朝日を見ると憂鬱になる。
西日は母親のようなやさしさで、ぼくを包み込んで安息の地へ導いてくれる。
<いい子だね、いい子だよ。>
ぼくはそこに行けるかな。ぼくはそこに行ってもいいかな。
がんばりな。がんばれるかい。どうするつもりだ、やめるのかい。

にせものの街にうかびあがる真っ赤な世界。
とっても近い世界。今から歩いて行くからね。でも、どうやって行けばいいのだろう。迷子にだけはなりたくない。
黄色いキツネがぼくの背中をかんで、みどりの小鳥がぼくの頭をつつく。
ぼくは血だらけになりながら息を吐く。
鳥はぼくの頭をはなれない。ぼくの脳天をつつきながら・・・・・・・・わらっている。
ぼくの目には涙。涙のなかに血が混じり、鼻をぬけ、舌をとうり、大きな西日にとんでいく。
とんでいる、ぼくはとんでいる。
走っている。ぼくは走っている。
<お父さん、ありがとう。お母さん、ごめんなさい。>
あなた方のおかげで、ぼくは友達になれた。
はやく行きたいな。でも、行きたくない。
2人とも死んだらいいのにな。そうだったらいいのにな。
ぼくはいい子です。だから、そんなことは考えません。
ぼくはやさしい子です。うまくいくといいのに。仲良くできればいいのに。

いつから西日が好きになったのだろう。ビルの高いところから見つめていたい。いつもの場所から見つめていたい。


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